フレット交換(リフレット)とは
ギター工房弦では、フレット交換(リフレット)を単に「古いフレットを抜いて、新しいフレットを打つ作業」とは考えていません。
フレットを抜いた状態でしか整えられない指板面、ネックの状態、フレット溝、フレットの固定精度まで含めて、楽器全体の演奏性と安定性を整える作業として行っています。

フレットワイヤーは JESCAR をメインに、材質はニッケルシルバー・ステンレス・EVO-GOLDと、常時40種以上のフレットを取り扱っております。
フレットを抜いた後に、指板面から整える
フレットを抜いた後は、フレット溝の補修を行いながら、指板Rと指板面の直線を整えるための指板修正を行います。
この工程で重要なのは、作業時のネックの状態です。ギターのネックは、弦を張った時のテンションによって状態が変化します。そのためギター工房弦では、指板修正の際にネックへ弦を張っている時と同じテンションを掛けた状態で作業を行います。
弦を張っていない状態だけを基準にしてしまうと、実際に演奏する状態とのズレが出る可能性があります。指板面上のネック角度が、弦高・ビビリ・音詰まり・演奏感にどのような影響を与えるかを想定しながら、楽器ごとに必要な修正量を判断します。
フレットは叩き込まず、Rを合わせてプレスで挿入
フレット打ちの工程では、フレットに余計な歪みが出る可能性のあるハンマー打ちはほぼ使用しません。
使用するフレットは、あらかじめ指板Rと全く同じRに揃えた上で、プレスにより挿入します。これにより、フレットを指板面へ無理なく、均一に、確実に収めることができます。
同時にフレットの接着も行い、フレットを指板面上に隙間なく固定します。接着剤がフレット溝の隙間を埋めることで、フレットの固定力を高めるだけでなく、ネックの強化・安定化にもつながります。
フレットがしっかり固定されていることは、音の立ち上がりやサステイン、長期的なコンディション維持にも関わる重要なポイントです。
乾燥時期のフレットバリを想定したサイド処理
フレット交換後の仕上がりで、特に差が出やすい部分がフレットサイドの処理です。
多湿環境で指板が水分を含んで太った状態のままフレットサイドを仕上げてしまうと、乾燥時期に指板が収縮し、フレットの端が飛び出す「フレットバリ」の原因になることがあります。
そのためギター工房弦では、フレットサイドの処理を行う前にデシケーター(乾燥庫)を使用し、指板を乾燥させた状態で作業を行います。季節や湿度の変化を想定し、ただ作業時に綺麗なだけでなく、実際に使い続けた時の安定性まで考えて仕上げます。
また、弦落ちを考慮したフレットの有効長の調整や、フレットエッジと指板エッジをどの位丸めるかor丸めないか等々、一本一本楽器に合わせた作業を行っています。
↑ エッジ処理の荒加工段階の一例
磨り合わせも、弦を張った時と同じテンションで
フレットを打ち込んだ後は、フレットの頂点を正確に揃えるための磨り合わせを行います。
この工程でも、指板修正と同様に、ネックへ弦を張っている時と同じテンションを掛けた状態で作業します。実際の演奏状態に近いネックコンディションでフレットの頂点を整えることで、より現実的な弦高・ビビリ・音詰まりのバランスを追い込むことができます。
まずフレットの頂点の並びを正確に揃え、その後フレット形状を整形。さらに再度頂点の磨り合わせを行い、最終的にフレットを磨き上げて仕上げます。
ただ高さを揃えるだけでなく、弦がスムーズに触れ、押弦やチョーキング時にストレスが出にくい形状を目指します。
安定した環境で、安定した調整を
ネックや指板は、温度や湿度の影響を受けやすい部分です。そのためギター工房弦では、安定した環境で楽器の調整を行うため、店内ワークスペースを温度22℃・湿度50%に維持するよう努めています。
作業精度だけでなく、作業環境そのものもリペア品質の一部と考えています。
こんな症状がある場合はご相談ください
- フレットの凹みが大きい
- 音詰まりやビビリが気になる
- 弦高を下げたいが、ビビリが出てしまう
- チョーキング時に音が詰まる
- フレットの高さが低くなり、弾きにくい
- フレットサイドの引っかかりが気になる
- 今とは違うフレットサイズや素材に変更したい
まずは楽器をお持ち込みください
フレット交換(リフレット)は本来、摩耗したフレットを新しくするだけでなく、指板面・ネック状態・フレット固定・最終調整まで整えることで、その楽器が本来持っている性能を引き出すためのリペアとなります。
状態を確認した上で、磨り合わせで対応できるか、フレット交換が必要か、適した作業内容をご案内いたします。

03-3946-2710